第151回研究例会のお知らせ 

第151回研究例会を下記の日程にて開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

 日 時:9月10日(日)13:00~
 会 場:清心館 3階 533教室
 参加費:無 料

  ***** 題目・要旨 *****

◆『古事記』仁徳天皇条にみられる儒教思想
   ――「聖帝世」と「因無礼而、退賜」に着目して――
  立命館大学大学院博士課程前期課程  吉川 益弘

 本発表では、『古事記』仁徳天皇条において、仁徳天皇の聖帝伝承、及び大后石之日売命が女鳥王の叛逆を咎める話に着目し、先行研究により指摘される儒教思想の影響の実証性について、再検討する。
 その際、『古事記』仁徳天皇条の中で、「聖帝世」「無礼」の二つの儒教的色彩の強い語が記される箇所から、それぞれが具体的にどの儒教経典の記述・思想と対応するのかを明らかにすることにより、先行研究に指摘される儒教思想の影響が確かなものであることを示したい。
 

◆谷崎潤一郎「ハッサン・カンの妖術」論
   ――「ハッサン・カン」の〈魔法〉について
  立命館大学大学院博士課程前期課程  カ シュリン

 「ハッサン・カンの妖術」は、大正6年11月に「中央公論」に発表された作品である。先行研究では、芥川龍之介の「魔術」(『赤い鳥』、大9.1)と比較し、両者の相違について論じるのが主流である。同じくインドを題材にした「玄弉三蔵」(「中央公論」、大6.4)と「ラホールより」(「中外新論」、大6.11)への注目は少ない。本発表では、「玄弉三蔵」と「ラホールより」をサブテキストとして、インド思想をめぐる同時代の言説に着目しながら、「霊魂」を肉体から離脱させるという「ハッサン・カン」の〈魔法〉について考察していきたい。


◆『夜の寝覚』の手紙
  立命館大学大学院博士課程後期課程  池田 彩音

 『夜の寝覚』は、平安時代後期に作られた物語である。この物語は、一貫して一人の女君を中心に据えて物語を進めていった点に特徴がある。男君に比べて行動範囲や交流範囲も限られた女君を中心人物とする上で、物語はどのような工夫を施したのだろうか。
 本発表では、空間や時間の隔たりを縮める役割を担う手紙に着目し、分析を行う。その上で、物語展開における手紙の機能を明らかにし、女君に焦点化していく物語の方法について提示する。


◆『愚管抄』の幼学性――受け継がれる「権者」の系譜――
  近江高等学校常勤講師  児島 啓祐

 『愚管抄』は、摂関家出身の天台僧慈円が承久の乱直前に著した歴史の注釈書である。従来指摘されてきた通り、『愚管抄』には、歴史上の重要人物と、その系譜に連なる語り手自身を「権者」(仏菩薩の仮の姿)として捉える態度が認められる。本発表では、これまでの成果を踏まえた上で、読者を「権者」へと成長させようとする『愚管抄』の幼学の意識を読み解いていきたい。注釈としての『愚管抄』の特質は、「仏法」と結びついた幼学性にこそ見出されるのである。

【レポート】第61回立命館大学日本文学会大会 

6月11日に行われた第61回立命館大学日本文学会大会は、無事盛会にて終えることができました。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

大会の様子の一部を、写真とともにご紹介します。

研究発表は、昨年度の卒業生、院生、海外からお招きした研究者による4本が行われました。時代やジャンル、国境をも横断しながら日本文学を考えていこうとする4名のご発表はとても示唆に富んだものでした。質疑応答も、学部生も含め活発に行われました。

taikai17-1

研究発表の後、木股知史先生が「画文共鳴あれこれ」という題でご講演くださいました。現在、デジタルアーカイブや雑誌の復刻版の発行など研究環境が飛躍的に向上しつつあります。しかし、木股先生は原本を直接手にとって、挿絵や出版手法などを想像していくことの重要性を指摘されました。挿絵や装幀といった点に留まらず、その本の持つ手触りや匂いなども想起させられたご講演でした。

taikai17-2

学会終了後は、末川記念会館地下のレストランカルムにて、懇親会が行われました。

taikai17-3

なお、会場にお越しくださった会員の方には『論究日本文学』最新号の106号をお渡ししました。
残念ながらお越しになれなかった方には、後日お送りいたします。今しばらくお待ちください。

第61回立命館大学日本文学会大会のお知らせ 

下記の通り、第61回立命館大学日本文学会大会を行います。
多数の方々の参加をお待ちしております。



■日時: 2017年6月11日(日) 13時00分~17時20分
■会場: 立命館大学衣笠キャンパス 以学館31教室
               
■内容
◇研究発表(13:00〜15:25)
① 空の名残がうつすもう一人の「兼好」
   ―第二十段から見る『徒然草』における慈円と西行の影響―
    庄司 真理 [本学卒業生]
② 書き変わる〈日本〉と〈東欧〉―横光利一のブダペスト体験―
    中井 祐希 [本学博士後期課程]
③ 『丹後国風土記』「浦嶼子」における「芳蘭」の考察
    砂田 和輝 [本学博士前期課程]
④ 近年のベトナムにおける文学研究(俳句を中心に)
    グエン・ニュー [客員研究員・ホーチミン社会科学人文大学]

◇講  演 (15:40~16:40)
   画文共鳴あれこれ
    木股 知史 [甲南大学文学部日本語日本文学科教授]

◇ 総  会 (16:50~17:20)
◆ 懇 親 会 (17:30~19:30)
 会場: レストランカルム
 会費: 5,000円(学部生・院生は3,000円)

第150回研究例会のお知らせ(2017年4月9日(日)13:00~) 

第150回研究例会を下記の日程にて開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

 日 時:4月9日(日)13:00~
 会 場:清心館 3階 533教室
 参加費:無 料

  ***** 題目・要旨 *****

河野裕子『森のやうに獣のやうに』論――連作「青林檎」に着目して――
 →(論題変更)河野裕子「青林檎」論――連作内における歌の編集意識
  立命館大学大学院博士課程前期課程  佐藤 好

 『森のやうに獣のやうに』(沖積社 一九七二・五)は、河野裕子の第一歌集である。この歌集に掲載された連作群は「裸足」・「夏」・「黙契」と分けられ、「青林檎」は、「裸足」の最後の連作に位置付けられている。そして、この連作の後に「夏」が始まり、連作「桜花の記憶」が掲載されているのである。この「青林檎」が歌集中においてどのような効果をもたらし、前後の連作に影響を与えているのかを分析、考察を試みたい。


「盗まれた手紙の話」論――〈欲望〉の構造をめぐって
 →(論題変更)坂口安吾「盗まれた手紙の話」小考
  立命館大学大学院博士課程後期課程  陳 暁芝

 「盗まれた手紙の話」は昭和15年6月1日発行の「文化評論」第1巻第1号に発表され、翌年『炉辺夜話集』に収録された坂口安吾の短編作である。
 本発表では、「盗まれた手紙の話」における〈欲望〉の構造に主眼を置き、物語に示される詐欺行為と深川オペラ劇場主人の敗北の内実を明らかにし、作品の成立を探る。その上、本作品ならびに「茶番に寄せて」を取り上げ、作者の創作意図を考察する。


林芙美子 『ボルネオダイヤ』論
 →(論題変更)林芙美子「ボルネオダイヤ」論―解放を望む女たち
  立命館大学大学院博士課程後期課程  フィトリアナ プスピタ デウィ

 林芙美子『ボルネオダイヤ』は1942年から1943年にかけての南方の体験から生まれた作品であり、戦後「改造」1946年6月号に発表された。作品は戦時中、インドネシアのボルネオ島に於ける日本女性の従軍慰安婦についての物語である。
 本発表は、主人公の人物像に注目し、内地と外地との生活を比較することにより、ボルネオ島での体験の意義を考察する。また、加えて、外地へ放浪した女性について作家の意図を明らかにするものである。


◆石川啄木「我等の一団と彼」の頃
  京都市立塔南高等学校常勤講師  深町 博史

 石川啄木は一九一〇(明治四三)年の五月末から六月上旬にかけて自身最後の小説となる「我等の一団と彼」を執筆した。「老人と青年の関係」を描いた前作「道」を「全然失敗してゐた」とし、本作の「目的」を「現代の主潮」としている。また、執筆期間中に発生した〈大逆事件〉にも重大な関心を寄せていく。本発表では「我等の一団と彼」を中心に、その「思想」上に大きな変化のあったという同時期の啄木文学についても考察したい。

 *例会終了後、16:30~ 評議員会を行います。

第149回研究例会のお知らせ(2016年12月11日(日)13:00~) 

第149回研究例会を下記の日程にて開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

 日 時:12月11日(日)13:00~
 会 場:清心館 3階 533教室
 参加費:無 料

  ***** 題目・要旨 *****

◆夢野久作「瓶詰地獄」論――読者を魅せる錯覚と「まごころ」の社会性
  立命館大学文学部日本文学専攻  畑中 千奈

 夢野久作「瓶詰地獄」(「瓶詰の地獄」として一九二八年に雑誌「猟奇」に掲載)は夢野の作品のなかでも屈指のミステリ作品として挙げられる。物語は書簡体小説の形をとり、三本の瓶に詰められた書面を遡ることによって無人島の兄妹の禁忌の全貌が暴かれていく。
 本発表では、『夢野久作の日記』(葦書房・一九七六年)などにも着目し、兄妹の意識の相違から浮かび上がる人間性と本文中の「まごころ」から見出される社会性を近代の個人の確立に対する夢野の思想と照らし合わせて考察したい。


中島敦『北方行』論への無限な探求
  →(論題変更)中島敦「北方行」論――三造と傳吉をめぐって
  立命館大学大学院博士課程後期課程  種 茗

 中島敦『北方行』は昭和九年から昭和一二年にかけて創作された未完の長編である。従来、本作は中島敦の他の作品の源として他作との関連性が多く論じられてきたが、本発表は、作品の構造と人物像に注目し、各人物の自己認識の分析を通して、中島敦の創作意識を明らかにするものである。


「夾竹桃の家の女」――中島敦に於ける女像と非植民地の方法論
  →(論題変更)中島敦「夾竹桃の家の女」論
  立命館大学大学院博士課程後期課程  ボヴァ エリオ   

 中島敦の「夾竹桃の家の女」は一九四一から四二年の南洋群島滞在期の経験から生まれた作品であり、単行本『南島譚』に収録されて一九四二年に初めて発表された。
 本発表では夾竹桃の家の女の登場人物と女の眼に向かい合う「私」の眼の意味に着目し作品の成立を探る。本作品ならびに「マリヤン」、または作者の文学活動初期の「プウルの側で」を取り上げて対比する形で考察したい。


◆ケンブリッジ大学図書館の和漢古典籍
   ―― 林&コーニツキー目録の再考 ――
  立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員  李 増先

 13世紀初頭に創建されたケンブリッジ大学(University of Cambridge)は英語圏において二番目の歴史を有する総合大学である。30以上のカレッジ(College)を擁し、100以上の図書館や資料館が置かれている。その中で最大な規模を有するのはケンブリッジ大学図書館(Cambridge University Library)である。本発表は現在同館の所蔵となったロックハート(Sir James Stewart Lockhart, 1858-1973)コレクションを手掛かりに、既刊『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』*1の再考し、ロックハートコレクションが同館の所蔵になるまでの経緯を明らかにする。

*1 Peter Kornicki, and Nozomu Hayashi. Early Japanese Books in Cambridge University Library: A Catalogue of the Aston, Sotow and Von Siebold Collections. Cambridge University press, 1991.