第152回研究例会のお知らせ 

第152回研究例会を下記の日程にて開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

 日 時:12月10日(日)13:00~
 会 場:清心館 3階 533教室
 参加費:無 料

  ***** 題目・要旨 *****

◆金閣炎上事件の事実との比較による『五番町夕霧楼』における夕子の存在意義 ~「京都」外出身者による視点~
  立命館大学文学部日本文学研究学域  平井 優香

 鹿苑寺に近接し、水上勉とゆかりのある立命館大学に入学した機会に本テーマを設定した。
 金閣炎上事件の「事実」は当時の新聞を根拠として述べる。また、同じ京都府といえども日本海側の「京都」外出身という正順、夕子の立場に着目したうえで論を進める。
 なお、本テーマは今後の大学生活を通じて行う金閣炎上事件という事件事実を文学作品へ昇華するプロセスと世間、殊に文壇に与えた影響についての研究の第一歩とする。
 
◆いかにして「猪」は現れたのか
    ――又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」論
  立命館大学大学院博士課程後期課程  栗山 雄佑

 又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」は、米軍占領下の沖縄において、ベトナム戦争への派遣を前に狂気に苛まれていくジョージという兵士の様相を描き出す。本発表では、ジョージの苦悩を通じ、彼を追い込む「米軍兵士になること」の問題、そして彼の心境を沖縄の作家が想起することの意味について考察を試みる。この二点より、沖縄において米軍兵士がいかなる苦悩に苛まれ、その苦悩の捌け口を沖縄の人びとに求めてきたのかを探りたい。

◆中島敦の漢詩について
  立命館大学大学院博士課程後期課程  種 茗

 中島敦の漢詩は昭和十二年から十四年までの間に作られたものである。その中に、自然風景や自己の心情を読む詩が多い。
 また、同時期に「北方行」(未完)、「狼疾記」、「カメレオン日記」などの小説が書き上げられた。本発表では、同時期の小説創作との関連を視野に入れつつ、中島の漢詩の成立と内容を中心に考察し、その中に詠まれた中島の内的心情を明らかにする。

◆山本文緒作品における「働く」というモチーフ
    ――『なぎさ』を中心に――
  近畿大学非常勤講師  池田 啓悟

 直木賞作家である山本文緒は、一般には恋愛小説の書き手だと思われている。ただ彼女の作品を通読すると、「働く」というモチーフが重要な位置を占めていることに気づかされる。本発表では2013年に刊行された『なぎさ』を中心に、『絶対泣かない』(1995)や『プラナリア』(2000)などの短編集を念頭に置きながら、山本作品において「働く」ということが持っている意味を明らかにしたい。