第140回研究例会のお知らせ 

第140回研究例会を下記の日程にて開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

 日 時:12月8日(日)13:00~
 会 場:洋洋館 2階 956教室
 参加費:無 料


  ***** 題目・要旨 *****

◆「花山天皇の出家」類話比較 ――伝承における『古事談』の役割――
  立命館大学 3回生  平松 美有

 「花山天皇の出家」の記述は、有名な『大鏡』以外にも多くの書物にみられる。これらは、日本史の分野で多く研究されたが、花山天皇の出家日時を追究するものが多く、書物の影響関係に言及したものは少ない。本発表では、類話間の影響関係において重要な位置にある『古事談』を中心に、類話比較によって「花山天皇の出家」の記述の伝承ルートを考察する。また、そこから見えてくる各書物の性格も読み取っていきたい。


◆『夜の寝覚』における「光」の表現 ――構造論への一試論――
  立命館大学大学院博士前期課程1回生  池田 彩音

 『夜の寝覚』は、『竹取物語』や『源氏物語』の影響がみられる平安後期物語である。この二作品は、「光」と王権との関わりが諸氏に論じられているが、『夜の寝覚』では「光」に特に注目した論は見られない。本発表では、『夜の寝覚』における王権志向を、人物の形容に用いられる「光」の表現から見ていく。そこから女主人公の苦悩のみが主題として重く見られがちであったことを見直し、それを前提とする末尾欠巻部の位置づけについても考えてみたい。


◆高橋たか子「相似形」論 ――明子が抱く憎悪について――
  立命館大学大学院博士前期課程1回生  小森 誠二

 高橋たか子の「相似形」(『文学界』一九七一・五)は、主人公の明子が娘の初子に対して憎悪を抱くことを起点とした作品である。従来の先行研究では、その憎悪は母から娘に向けられたものとして捉えられてきた。本発表では、憎悪を母から娘に向けたものとしてのみ捉えるのではなく、明子と他の登場人物との関係を踏まえたうえで、明子が抱いた憎悪について検討し、作品の分析を試みたい。


◆坂口䙥子の〈蕃地〉小説 ――熊本時代の執筆活動を中心に――
  熊本信愛女学院高校常勤講師  楠井 清文

 八代出身の作家・坂口䙥子は戦前に台湾に渡り、日本人女性作家として活躍した数少ない人物である。敗戦を疎開先の台湾原住民居住地で迎え、戦後は熊本で創作活動を続けた。この時期注目されるのが「蕃地」(『新潮』一九五三・一〇)、「蕃婦ロポウの話」(『詩と真実』一九六〇・一一)など原住民を扱った作品であり、その特色から彼女は「蕃地作家」と称された。本発表では、なぜ戦後に坂口が繰り返し〈蕃地〉を描かなければならなかったのかを、同時期の他の傾向の作品や文章も参照しながら考察したい。特に従来の著作年譜で未調査だった、地元紙に発表したエッセイ等では、作者の問題意識や執筆意図に触れており、作品解釈上重要な手がかりを与えると考える。