第148回研究例会のお知らせ(2016年9月11日(日)13:00~) 

第148回研究例会を下記の日程にて開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

 日 時:9月11日(日)13:00~
 会 場:清心館 3階 533教室
 参加費:無 料

  ***** 題目・要旨 *****

◆多和田葉子『献灯使』論―震災後風景の文学表象―
  立命館大学大学院博士課程前期課程  金 昇渊

 多和田葉子『献灯使』(講談社、二〇一四・一〇)は、「鎖国」という状況、隠蔽された「沖縄」という空間を通じて、放射性物質による「汚染」から露顕する「戦争―貧困―移民(難民)」などの問題を描く。
 本発表では、『献灯使』を介し、「震災」―とりわけ地震・津波といった「自然災害」による「被災(者)」を作り出す言説―にとどまらない風景を読み解く。その上、多和田本人やその作品に顕著である移動の問題が、震災以降の「読み」においてどのように捉えなおされ、読み直されるかを考察する。


◆物語叙述における二重原因構造による動因付けの役割―若紫巻と若菜上下巻を中心に
  立命館大学大学院博士課程後期課程  テレサ・マルティネス・フェルナンデス

 『源氏物語』の叙述技法の一つである「二重原因構造による動因付け」は全作品にわたって「状況説明的叙述」と「演劇型叙述」の二つに分類できる。
 作者はあることを語る時に、目的叙述に至るまで、その前に他の事柄を説明し、別の人物を登場させる。このことを先行研究は、文中挿入句、又は所謂語りの延長、「待たせぶり」(玉上氏)と理解してきた。本発表では、このような事例が殆ど動因付けの構造として解釈できることを明らかにする。


◆芥川龍之介「南京の基督」論―中国古典文学との比較を視野に
  立命館大学大学院博士課程後期課程  周 倩   

 「南京の基督」は1920年7月号の『中央公論』に発表された。作品は二つの物語から構成され、一つは私娼金花の梅毒が「基督」に治された「奇跡」の物語で、もう一つは「日本人旅行者」が知っている「真実」の物語である。
 本発表では、先行研究に見逃された中国古典艶情小説との比較を通して、芥川が本作品を創作する際中国文学から素材を求めたことを明らかにする。また、加えて、同時期の中国を素材とした作品群も参照しながら、芥川の創作意図を考察する。


◆貴船神社の和歌史
  立命館大学非常勤講師  三浦 俊介

 京都市左京区の貴船神社は和泉式部の和歌「物思へば沢の蛍も我が身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る」で有名であるが、その詞書に出てくる「御手洗川」の位置さえ定かでない。今回の発表では、①平安中期の『増基法師集』所収歌、②平安後期の貴船社歌合の新出歌の検証、③貴船神社関連の歌徳説話、④貴船神社藏『貴船社人舌氏秘書』所収歌、⑤國學院大學図書館藏『木船谷者所持記』所収歌などを取り上げ、貴船神社の和歌史の一端を探りたい。