第149回研究例会のお知らせ(2016年12月11日(日)13:00~) 

第149回研究例会を下記の日程にて開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

 日 時:12月11日(日)13:00~
 会 場:清心館 3階 533教室
 参加費:無 料

  ***** 題目・要旨 *****

◆夢野久作「瓶詰地獄」論――読者を魅せる錯覚と「まごころ」の社会性
  立命館大学文学部日本文学専攻  畑中 千奈

 夢野久作「瓶詰地獄」(「瓶詰の地獄」として一九二八年に雑誌「猟奇」に掲載)は夢野の作品のなかでも屈指のミステリ作品として挙げられる。物語は書簡体小説の形をとり、三本の瓶に詰められた書面を遡ることによって無人島の兄妹の禁忌の全貌が暴かれていく。
 本発表では、『夢野久作の日記』(葦書房・一九七六年)などにも着目し、兄妹の意識の相違から浮かび上がる人間性と本文中の「まごころ」から見出される社会性を近代の個人の確立に対する夢野の思想と照らし合わせて考察したい。


中島敦『北方行』論への無限な探求
  →(論題変更)中島敦「北方行」論――三造と傳吉をめぐって
  立命館大学大学院博士課程後期課程  種 茗

 中島敦『北方行』は昭和九年から昭和一二年にかけて創作された未完の長編である。従来、本作は中島敦の他の作品の源として他作との関連性が多く論じられてきたが、本発表は、作品の構造と人物像に注目し、各人物の自己認識の分析を通して、中島敦の創作意識を明らかにするものである。


「夾竹桃の家の女」――中島敦に於ける女像と非植民地の方法論
  →(論題変更)中島敦「夾竹桃の家の女」論
  立命館大学大学院博士課程後期課程  ボヴァ エリオ   

 中島敦の「夾竹桃の家の女」は一九四一から四二年の南洋群島滞在期の経験から生まれた作品であり、単行本『南島譚』に収録されて一九四二年に初めて発表された。
 本発表では夾竹桃の家の女の登場人物と女の眼に向かい合う「私」の眼の意味に着目し作品の成立を探る。本作品ならびに「マリヤン」、または作者の文学活動初期の「プウルの側で」を取り上げて対比する形で考察したい。


◆ケンブリッジ大学図書館の和漢古典籍
   ―― 林&コーニツキー目録の再考 ――
  立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員  李 増先

 13世紀初頭に創建されたケンブリッジ大学(University of Cambridge)は英語圏において二番目の歴史を有する総合大学である。30以上のカレッジ(College)を擁し、100以上の図書館や資料館が置かれている。その中で最大な規模を有するのはケンブリッジ大学図書館(Cambridge University Library)である。本発表は現在同館の所蔵となったロックハート(Sir James Stewart Lockhart, 1858-1973)コレクションを手掛かりに、既刊『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』*1の再考し、ロックハートコレクションが同館の所蔵になるまでの経緯を明らかにする。

*1 Peter Kornicki, and Nozomu Hayashi. Early Japanese Books in Cambridge University Library: A Catalogue of the Aston, Sotow and Von Siebold Collections. Cambridge University press, 1991.